涙色

思うままに、意のままに。

お風呂シンキング①

 陸上競技がけっこう好きだ。

 

 小、中、そして高のはじめまで部活に入っていた。いろいろと事情が重なり転部してしまったが、その時も含めて、陸上競技が嫌いになったことは一度もない。
 するほうも見るほうもだ。

 大学には陸上部がなかったため、「ランニングサークル」なるものに入ったが気付いたら消滅していた。
 そんなわけで運動の場を失った私。とはいえ走るだけなら誰がどこでだってできるし、また実は大学には意外と立派なトレーニングルームがある。そちらも誰でも利用できるので、運動できる環境自体は依然としてあった。

 しかしすぐに運動しなくなった。
 一人暮らしだと、ジャージ等の洗濯が意外と面倒くさかったからだ。
 それはつまり、洗濯の面倒さ>できる運動への意欲だったということだ。

 

 私は陸上競技がけっこう好きだ。
 しかしそれ以外の地道な運動、トレーニングはどうやら好きでなかったようだ。部活動のときは、仲間が同じ、もしくは私以上の練習をしていると思えたから頑張れただけだったのだ。スポーツ選手にはなれっこない類の人間、それが私だ。

 

 ここでようやく話が本題に辿り着いた、私がお風呂で考えていたこと。
 それは「かる~い楽しい運動がしてえなあ」というものだ。
 そして最もやりたいのは陸上競技、つまり、かる~く楽しく陸上がやりたいのである。

 

 例えば「草野球」だとか、何故かそんなイメージのあるバレーボールだとか(偏見)。
 あれらはなんとなく、大学生や社会人がかる~いノリで楽しめている印象がある。
 それこそ草野球のチームだとかサークルだとか、そんな感じの集まり。毎晩毎晩集まってトレーニングに励む「部活」とは違う、集まれるときに集まれる人間でプレーする感じ。そういう雰囲気の中で私は陸上がしたいのだ。

 しかし意外……というわけでもないが、(少なくとも私は)陸上ではあまりそういう話を聞かない。なにせ走るだけなら誰がどこだってできるのだ、わざわざチームを組む必要はない。
 また陸上は数あるスポーツの中でも、事前の練習が重要な競技……だと思う、のも理由の一つだろう。他の競技に練習がいらないのでなく、陸上が本番においてできることが少ないのだ。本番での環境やコンディションに対応するのはどんなスポーツでも一緒、しかし陸上は「相手がいない」。相対すべき相手は過去の自分で、記録を塗り替えることこそが勝利だ。相手に合わせて本番で変えるべき要素が存在しないのだ。
 いやまあ長距離走とかなってくると別かも知らんけど。リレーとか味方もいるけど。し、しーらんけ……長距離やったことないもーん……。

 本番当日に集合しても意味がない以上、陸上競技でゆる~い団体を作るとなると、みんなで集まってのんびり練習をする団体になる。これが私の考える、ほかの競技と陸上の違いだ。

 

 えーっと、なんの話してたんだっけな?
 まあここまではいいんだ。
 みんなで集まってのんびり練習、私は普通にそれがしたい。
 問題はこの先だ。

 

 いくら陸上競技が「そういう性質」だろうと、のんびりでも練習をしていれば「本番」に参加したくなるのは間違いない。練習は本番のために存在する。本番、つまり大会だ。
 そして大会に出るような連中の多くは、がっつり練習をしている。するとなんということでしょう、ちっとも勝てないのだ。
 人間困ったもので、レースに負け続けると悔しくなる。もっと練習すれば勝てるかも、なんて考え始める。そら見ろ。のんびり練習する団体は、こうして崩壊を始めるのだ。
 私には見えるぞ……だんだん周りのノリと合わなくなって、脱退していくガチ勢の様子が……そっちが脱退するならまだしも、元々ののんびりプレイヤーが排斥されだしたら目も当てられないぞ……。

 

 は?なんだって?陸上は「相手がいない」んだろって?相対すべき相手は過去の自分で、記録を塗り替えることこそが勝利だろだって?何生温いこと言ってんだ他を踏み台にのし上がってこそスポーツだろうが!!!!!!!!!!
 まあ少なくとも、そう考えてしまう人はきっといるのだ。最初はそうでなくても。

 

 ところでこの思考はお風呂の中で行っていた私のものだ。段々のぼせてきた私は、このあたりでうん無理!と結論を出した。陸上を楽しむのはハードルが高い!私のような人間は、テレビ中継で観戦して陸上を楽しむのだ。そしてたまには開放している競技場にお金を払い、一人でスパイクを履いてのびのびと走る。それが限界だと、割と諦めた。人間諦めも大切だなと思った。
 というかぶっちゃけ大学卒業を目の前にして今更だった。

 

 さてお風呂からあがろう……しかしもう少し頻繁に運動がしたいな、とは思う。かと言って最初に書いた通り、地味なトレーニングを一人では、駄目だ。心がしんどくなってしまう。運動は楽しいものであり、私はそんな運動がしたいのだ。そんな無茶な考えが消えてくれない。

 

 と、お風呂を出て少し冷えた頭が、ここに来て今日の「解答」に辿り着いた。

 

 某ポケモンサークルのみんな!

 

 

 週に一回くらい体育館借り切って定期やろうぜ!!